3円安いガソリンを求めて、遠回りしていた男の話
スマホアプリで近隣のガソリン価格を比較し、1リットル3円安い店を目指して車を走らせる。
これを何年もやっていました。
「節約してる」という満足感があったんです。でもある日、ふと気づきました。遠回りで余分に使ったガソリン代のほうが、3円の差より高くついてるんじゃないか?と。
計算してみると、案の定でした。30リットル給油したとして3円の差は90円。でも遠回りで1kmよけいに走ったとして、燃費20kmのプリウスαなら約9円のガソリンを追加消費。往復なら18円。……まあ90円得しているのは確かですが、そのために10分余計に使っていた。
「俺は何をやっているんだ」と思いました。笑えないような、笑えるような。
でも本当に笑えなかったのは、その後に家計簿を見返したときでした。
家計簿を見た夜のこと
転職して約1年が経ったころ、なんとなく月末の数字が合わない日が続いていました。収入は確かに上がっているはずなのに、なぜか手元がしんどい。
「気のせいだろう」と思いながら、久しぶりに家計簿を項目ごとに眺めてみました。
食費、光熱費、通信費……どれも「まあそんなもんか」という数字。でも車に関係する項目を全部足し合わせてみると——
年間約28万円。
月2万3000円以上です。
思わず計算機を叩き直しました。「え、これ本当に?」と。
ガソリン代は毎月見ているから「知っていた」つもりでした。でも車検、任意保険、自動車税、タイヤ代、オイル交換——これらは「たまにまとめて払うもの」だったので、月々の感覚として認識できていなかった。全部足して初めて、「車って、こんなにかかっていたのか」と実感しました。
転職で収入が上がったのに、なぜ手元が減ったのか
転職の直接の理由は収入アップでしたが、職場が変わると同時に通勤距離も大幅に伸びました。片道19km。
「これは車が必要だ」と判断して、プリウスα(中古・約130万円)を購入。燃費を重視したハイブリッド車を選んだあたり、節約意識はあったつもりです。
でも、実際には——
- 毎年の自動車税はプリウスαだと軽自動車より高い
- タイヤが大きい分、交換費用も高く、冬タイヤへの履き替え作業もひと苦労
- 「家族でお出かけ」に使えると思っていたが、実際は月1回あるかどうかだった
- 燃費はいいが、走る距離が増えれば結局ガソリン代も増える
収入アップで浮いたお金を、そのまま車の維持費が吸い取っていた。これが「手元が増えていない」理由の正体でした。
【読者へ】車にかかるお金の全体像——見えにくい固定費リスト
「車ってそんなにかかるの?」と思う方のために、私が実際に払っていた費用を整理します。自分の家計に当てはめてみてください。
- ガソリン代——毎月払う。距離が多いほど増える。私の場合は月9,000円。
- 任意保険——毎年払う。年齢・等級・車種で変わる。私の場合は年42,240円(月3,520円)。
- 自動車税——毎年5月。排気量で変わる。プリウスαクラスだと年4〜5万円前後。
- 車検費用——2年に1回。法定費用+整備費で5〜10万円が多い。
- タイヤ代——数年に1回。雪国は夏冬2セット必要で費用2倍。
- オイル交換・消耗品——半年〜1年ごと。地味にかかる。
- 洗車代——頻度次第。ガソリンスタンドで月1回でも年6,000円。
- 駐車場代——都市部なら月5,000〜1万円以上が普通。
これらを全部足すと、「安く見積もっても年20万円以上」になる家庭は珍しくありません。月に直すと1万7000円前後が、車のためだけに消えている計算です。
「そんなにかかってたっけ?」と思った方——家計簿を項目別に合算してみることをおすすめします。私がそうだったように、一度足し算してみると驚く数字が出るかもしれません。

「この車を手放さなければ、転職の意味がない」
家計簿の数字を眺めながら、そう思いました。
収入アップのために転職したのに、その収入アップ分を車が丸ごと食べている。これでは、転職前と生活実態がほぼ変わらない。
「車を手放して、自転車通勤に切り替える」——そう決意した瞬間でした。

パートナーへの説明は、なかなか大変でした。「片道19kmを毎日自転車で?」「雨の日は?」「冬は?」。正直な疑問ばかりで、反論もできませんでした。「まあ、やってみてから話そう」と言って、とりあえず動き始めることにしました。
次回予告
次回は「車から自転車通勤に変えたら、実際いくら浮いたのか?10年で348万円の話」。具体的な数字を全部公開します。「自分の場合はいくら節約できるか」を計算できるチェックリストもつけます。